男性ハゲの原因

　男性ハゲが科学的に解明されてきたとはいえ、地震の原因はマナズ、と同程度で、ハゲは遺伝‥程度の解明にすぎない。
　男性ハゲは複雑な要因が絡み合ってハゲるのだと思う。地震もそうかもしれない。男性ハゲは簡単には治らないし、地震の予知も難しい。
　男性ハゲは、いまだに闇の中の状態だが、こと円形脱毛症は発症のメカニズムはわかってきていて、その原因を取り除いてあげれば治る。放射線などの治療によるハゲは、治療をやめれば治る。因果関係のはっきりしているハゲは原因を取り除けば毛は再生する。
　しかし男性ハゲはどうなのだろう？
　いま現在の科学的な説明によると、男性ハゲの原因は、大きく二つに分けられる。
　一つは、毛根に十分栄養が供給されなくなり、毛を作り出す毛母細胞に毛をつく出すエネルギーが足らなくなってハゲる、という説だ。もっともな説だ。毛を作り出す栄養分が不足すれば毛は生えてこない。
　もう一つは、毛は毛母細胞で発毛促進と発毛抑制のシグナルを受けてつくられるが、このシグナルのバランスが発毛抑制の方に傾くとハゲる、という説だ。発毛抑制には男性ホルモンが作用していて、何らかの原因で男性ホルモンが強く作用してしまう結果、発毛が抑えられてしまう。
　この二つが原因とされているが、それぞれさらに複雑な要因がある。

エネルギー不足説

　毛を作り出す毛母細胞に十分な栄養、エネルギーがいかなければ毛を作り出すことはできない。
　その原因もいろいろある。毛細血管が細くなって詰まり血行が悪くなる、頭部の骨格の状態が血流を阻害する形になっている、ダイエットや偏食により栄養が不足している、などなど、理由はいろいろあげられる。毛母細胞に十分な栄養が行かないとヘアサイクル（別掲）の成長期が短くなったり、休止期が長くなったりする。また休止期のあと新たに作られる毛母細胞自体の働きが弱く、細いウブ毛のような毛しか生やす力がなくなる、などさまざまな弊害が起こり、結果としてハゲる。
　この説は、老化によるハゲる理由にもなるし、女性のハゲる理由にもなる。栄養が細部までいきわたらなくなるのは老化現象そのものだし、女性の出産後のハゲや過度なダイエットによるハゲもこのエネルギー説が有力な原因に一つだろう。
　老化によりハゲるのは、このエネルギー説で説明できる。人は20歳になると成長は止まり、老化が始まるといわれる。頭髪も早い人は20歳を過ぎると老化が始まっているのだろう。何しろ老化は個人差がありすぎる。40歳そこそこで老いを感じる人もいれば60歳を過ぎても若々しい人がいるのと同じで、老化によって20代後半から頭が薄くなる人もいれば60歳を過ぎてもクログロフサフサの人もいる。
　脱毛にしろ老化にしろ個人差が大きい。だから、ハゲないように努力し、ふけないないように日々努力するのだろう。みんないっせいにハゲて老化すれば、こんな平等で平和なことはない。しかし神様はわれわれ人類に苦難の道を授けたもうたのだ。
　男性ハゲは、エネルギー説による脱毛も少しは関係しているのだろうが、しかしこれだけでは説明しきれない。

ヘアサイクルについて

＜コラム＞　
一本の毛は生えてから抜けるまでの一生がある。毛の一生をヘアサイクルという。初期成長期、成長期、退行期、休止期で一巡する。休止期の毛はやがて抜け落ち、同じ毛穴から別の毛母細胞が作られそこから新たな毛が生えてくる。ヘアサイクルの期間は、２年から６年といわれている。ずいぶん幅があるが、この範囲なら学者は正常といっている。若い人は５，６年のサイクルを保っているが、加齢とともにヘアサイクルの期間は短くなる。
　頭にはざっと10万本の毛が生えている。
　一口に10万本といっても数えた人は大変だったろうな、と思う。たとえば２センチ平方メートルに生えている毛の数を数え、頭皮の面積に換算する方法で、調査した結果だそうで、信用するしかない。
　頭部にある10万本の毛が、正常にヘアサイクルを繰り返していればハゲない。
　正常なヘアサイクルとは
・退行期が２、３週間
・休止期が３、４月
といわれている。残りが初期成長期と成長期である。
　頭髪の10％から15％程度は、退行期、休止期であっても問題ないが、この期間が長くなり、逆に成長している期間が短くなってくるとハゲの兆候が現れる、というわけだ。
　ちなみに計算上では一日１００本の毛が抜けても正常の範囲だからご安心を、と育毛本に書いたある。しかし、シャンプーしたあと抜けた毛が50本もあると心配になる。
　初期成長期、成長期の期間が２年から６年なら正常の範囲というけれど、若いころ５、６年あった成長期が、単純に３年になったら髪の毛は半分になってしまう。これじゃ頭はスカスカじゃない。２年ならもっとスカスカ。本当に２年から６年で正常なのかな？と思う。

発毛抑制説

　発毛抑制説は、毛の生える仕組みは、発毛促進と発毛抑制とのバランスによって左右される、という説だ。発毛抑制が強く作用すると、ハゲる。この説には、むかしから男性ハゲの原因とされてきた男性ホルモンも出てくるので、安心して受け入れられる説で、男性ハゲの原因としては有力な説である。
　男性ホルモンは以前から男性ハゲに密接な関係がある、とされていた。
・男性ホルモンが強い人はヒゲの濃い人が多く、ハゲてる人が多い。
・男性ホルモンが多い人は、頭皮に限らず顔なども脂ぎっていていて、ハゲている。
・男性ホルモンの多い人は、好色でハゲてる人が多い。
　これじゃ、やっぱり男性ハゲは嫌われる。
　男性ホルモンは、男らしさも強調するが、ハゲと密接に関係している。むかしから男性ハゲが男性ホルモンとの相関関係は指摘されてきたが、やはり科学的にも男性ホルモンはハゲと深い関係があることがわかってきた。
　男性ホルモンは、毛乳頭で酵素の働きによってD・H・T（デヒドロテストステロン）という物質に変化する。このD・H・Tは発毛抑制に働く物質であることが解明されている。
　D・H・Tが毛を作る毛母細胞に運ばれ、発毛抑制シグナルを伝える。発毛抑制シグナルを受けた毛母細胞は、毛を作る細胞分裂にブレーキをかけてしまう。その結果ハゲる、という仕組みだ。
　この説がいま最有力な説とはいえ、男性ハゲの人全員に当てはまるとは思えない。大筋ではこの説を認めたとしても、細かい点ではまだ解明されいない疑問点が残る。
　・男性ホルモンは、生れながらにして量そのものに多い少ないがあって、それによってハゲるかハゲないかが決まるのか。つまり男性ホルモンが多いというだけだオートマチックにハゲるのだろうか？
　・男性ホルモンをD・H・Tに変化させる酵素の働きがいいとD・H・Tが多く作られハゲるのか。男性ホルモンの量に関わらず、酵素の働きによってハゲるのか？
　・D・H・Tからの発毛抑制シグナルを受ける毛母細胞の受容体に受け入れ能力に差があってハゲるのか。D・H・Tの受け入れ能力が高い受容体だとハゲるのか？
　これらの要素が総合的に絡み合ってハゲに至るのだろう、と勝手に推測している。
　では、なぜ男性ホルモンが多いのか、酵素の働きがいいのか、受容体の能力がいいのか　などは結局のところ親から受けついだ遺伝、というしかない。
　また男性ハゲの形には前述のようにいくつかのパターンがあるが、なぜあのような形にハゲるのかもわからない。科学的にはハゲる部位は男性ホルモンの影響を受けやすい部位と説明されているが、なぜ影響を受けやすいのか？
　ハゲは隔世遺伝で伝わる、といわれている。ハゲラーには、父親、祖父、曽祖父に一人以上のハゲがいる確率が高い。逆にハゲてない人は、親をはじめご先祖様にハゲは少ない。
　男性ハゲは、男性ホルモン、遺伝的な資質、環境的な要因、さらに老化などが複合してハゲるのではないかと、いまの段階では推測している。
　２００５年に日本でも発売されたプロペシアという、飲む毛生え薬は、もともとは前立腺の治療薬というのも、この説を裏づけてるように思う。画期的な薬とはいっても、効くのは３割程度というから、やはりハゲの原因は完全には解明されていない。

ハゲラーはスケベ人種？

＜コラム＞やはり男性ホルモン説は有力？

　ハゲの原因として、男性ホルモン説は有力だ。男性ホルモンが強い、イコール、スケベということは科学的に証明されているのでしょうか？その辺のところは分からないが、状況証拠からいうと、やはりハゲラーはスケベ人種のようだ。
　某大手カツラ屋の広告担当者によると、起用する女優によって売上げが左右される、という。清純派女優を採用した時より、キレイで可愛いけれど、軽い感じ、はっきりって、誘えば何とかなりそうな女優やタレントを使ったときの方が売上げ好調とか。美形でしかもエッチが好きそうな、つまり「やれそう」女優がハゲラーは好みなのは、売上げ数字が証明している。でも、「やれそう」なイメージの女優って、やっぱ男にとって一つの理想形だな。なにもハゲラーだけの話ではない。
　ついでに、活字媒体に広告を出す場合は、多少お品のない雑誌の方が反応が断然いい。そういえば高尚な雑誌にはあまり広告が掲載されていない。下半身の話題が必ず一本は掲載されている芸能週刊誌や写真週刊誌にカツラや育毛の広告が多いのは、やはり、この手の雑誌の読者にカツラー候補のハゲラーが多いっていうことかな。