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ハゲにまつわる、おかしくも、まじめなお話。カテゴリー、1)~6)の順にお読みください。
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■はじめに

 ハゲを英語でなんていうのか知らない。まさか、ノーヘアではあるまい。これではガッツ石松になってしまう。
 英語に疎いので、ここではハゲはハゲ、ハゲてる人はハゲラー、そしてハゲに耐え切れずカツラをつけた人をカツラーと呼ぶことにする。
 ハゲラー、カツラーなんて呼ぶと、それだけで小馬鹿にしている印象を受けるかもしれないが、決してそんなことはありません。
 ハゲていない人は、ハゲとかカツラとか気軽にいう。いってる本人は特段の悪意などあっていっているわけではない。気にもしていないし、悪意もないから平気でいえる言葉なのだ。
 でもそんな言葉に過剰に反応してしまうのがハゲラー、カツラーの悲しい性です。ハゲラー&カツラーが、育毛やハゲ隠しに一生懸命であればあるほど、笑いを誘われる。必死であればあるほどおかしい。だって、ハゲていても、カツラをかぶっていても別にいいじゃん、とハゲてない人は思っているからです。
 ハゲは病気でもなければ、障害でもいない。人間の個性の一つである。しかし、ハゲている人にとっては個性ではすまされない。
 ハゲとカツラに過剰なまでに敏感なのは、日本人の特性かもしれないが、これでちゃっかりビジネスをしている人もたくさんいる。毛生え薬屋、カツラ屋がそうだ。カツラ産業だけでも年商1兆円規模になる。ハゲ以外にも、デブとかブスを相手にした、痩身エステや整形外科なども大いに繁盛している。ハゲ、デブ、ブスを相手にするビジネスを、「人の弱み、つけ込み産業」とも称する。いまも繁盛しているが、これからもますます栄えそうな勢いである。
 日本経済に多大な貢献をしているハゲラーとカツラーにエールをおくるとともに、ハゲやカツラにまつわるちょっとしたお話をまとめたのが本書です。
 ハゲ講座、○×学などとアカデミックなタイトルを勝手につけましたが、内容はまったくアカデミックではありません。気軽に読み流してください。
 もし、あなたがハゲていたら、参考になる部分が少しはあるかもしれません。あなたの回りにハゲラーやカツラーがいたら、こっそり笑ってやってください。間違っても面と向かって笑ったりしないでください。そんなことしたら、ハゲラー、カツラーは悶絶して、鬱病になってしまいます。
2006年6月



■あとがき

 本書で再三書きましたが、ハゲは病気ではないし、個性の一つです。ハゲを気にしている人の中には、誰が見ても立派にハゲあがっている人もいますが、中には本人が気にするほどハゲていない人もいます。過剰反応とかいいようがありませんが、本人にとっては、ハゲることに強い抵抗があるのでしょう。
 ハゲを気にして思い悩むことができるのは、世の中平和だからこそ、カツラだ、新しい毛生え薬だと奔走できるのです。もしどこかの国と戦争していて、戦地に出向く兵隊さんだったら、カツラだ、毛生え薬だなどといっていられない。ボクシングではカツラ装着はルール違反だそうですが、カツラをつけた兵隊さんがたくさんいる軍隊はいかにも弱そうだ。
 ハゲを気にする人がいるからカツラ屋は儲かるし、毛生え薬屋もビッグな産業になるのです。これからも、これらの産業がますます発展することを願っています。もし、戦争や貧困以外の原因でこれらの産業が衰退するとしたら、すべての日本人が優しい心を取り戻した時です。しかし、いまの日本、日本人を見ていると、とてもそんなことは望めません。
 というわけで‥
 カツラー、ハゲラー、ついでにブスもおデブもわれわれに末永く笑いを提供してください。そして日本の平和も末永く続きますように‥。

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 ハゲは悲しい。
 誰もすき好んでハゲたわけでないのに、ハゲ、ハゲと嘲笑される。お笑いの対象になることはあっても、尊敬されることはない。気の毒がってくれる人はいるけど、そんな人だってどこか心の奥底ではニンマリ笑っている。もしくは笑いを堪えながら同情している。
 ハゲていない人は平気でハゲ、ハゲといって馬鹿にするが、そのひと言に大いに傷つくのがハゲラーなのです。
 これが、障害者として社会からはっきり認知された、視力障害者や身体障害者、知能障害者の人を、めっかち、ちんば、うすらばか、といったら差別用語として顰蹙(ひんしゅく)をかうが、ハゲはいくらハゲといっても世の中から糾弾されることはない。身体障害者や精神障害者は、社会から守られるべきものとして認知されているが、ハゲは嘲笑されることはあっても、守られることはないのです。
 いつごろからかは定かではないが、チビ、デブ、ハゲの男性は嘲笑の対象になってきた。これらの身体的な特徴は、障害でもないし、病気でもない。健康体の一つの特徴であり、個性である。
 しかし、一般の人からみると、特異なのだ。仲間と違うもの、平均的でないものを区別し、さげすみ偏見視するのは日本人特有の性癖かしれない。日本では小さい子供のころからチビ、デブ、ハゲは笑いの対象、時にはいじめの対象になってきた。いじめられた本人の心理的な痛手ははかりしれない。広い世の中には、チビ、デブ、ハゲと三拍子揃った人もいて、お気の毒というほかない。
 女性に対しては、デブとブスが双璧だろう。心無い男の子からからかわれ、いじめられた女の子は少なくない。
 これら以外にも、出っ歯、デカ顔、デカ尻、短足、胴長、ロンパリ、ガニマタ(カニマタ)‥などなど、嘲笑の対象となる身体的な特徴はいろいろある。身体的特徴以外にも、ジジイ、ババアと高齢者を馬鹿にしたり、逆にジャリ、クソガキなどと若年者をさげすむ。オヤジ、オバサンなどの言葉もどこか差別的なニュアンスが感じられなくもない。これがいまの日本人の素直な心理だとしたら、悲しい。欧米や世界ではどうなのだろう?
 逆の身体的な特徴、長身、スリム、美人、小顔、足長‥などは憧れの対象ということになる。
 ハゲは決して病気ではない。だけど、ハゲはやるせなく悲しい。親とご先祖様を恨むしかない。ハゲはハゲラーとして力強く生き抜くしかないのだ。


 チビ、デブ、ハゲ、ブスのうち、チビについては成長が止まってしまえばどうしようもない。ところが、ハゲとデブ、ブスは、自らの努力でなんとか脱出できる可能性があると思っているハゲラー、デブ、ブスがいて、努力する。確かにデブは、食事や運動でデブから脱却できる。ところがハゲは懸命に努力したからといって治るわけなない。
 近年では、ブスは整形手術でなんとか救われるようになったし、出っ歯にいたっては矯正歯科で直すことができる。チビはチビで上げ底の靴を履いたりして、少しでも背を高くみせる努力をしているが、ズボンの裾を目いっぱい伸ばして、靴底の厚い靴を履くチビはまた笑える。
 そして、ハゲラーも努力する。ハゲから脱するために涙ぐましい努力を重ねる。真剣であればあるほど回りはこっけいさを感じる。そんな回りの反応を無視してわが道を行くハゲラーの一途さに頭が下がる思いもするけど、おかしくもある。
 中年以降になってハゲる人はまだいいが、若くしてハゲる人の努力は尊敬に値する。新しい毛生え薬が発売されたと聞いたらすぐに試す。髪の毛が生える食事をし、髪の毛にいい生活習慣をする。もちろんマッサージだって半端じゃない。専用の頭皮刺激ブラシで頭を叩き、側頭部から天頂部にかけて入念にマッサージを繰り返す。シャンプーだって、頭皮についた皮脂を完全に洗い流すシャンプー剤を使って、毛生え薬を毛穴に少しでも浸透させようとする。
 頭皮を叩く電動ブラシを使いすぎて頭皮から出血するほど、ガンバルのだ。でも、残念ながら大抵の努力は徒労に終わる。
 ハゲラーが得意がって「生えきたでしょう?」と頭を見せるが、せいぜいウブ毛どまり。そりゃあ、よーく見れば短くて細い毛が申しわけ程度に生えているけど、普通に離れてみれば、とても生えてきた、とはいえない。
 でも本人があまり喜ぶものだから、「確かに生えてきた!」なんて一緒に喜んでみせるが、完全にお付き合い、お世辞である。
 毛生え薬を発明したらノーベル賞ものだ、と昔からいわれているけど、毛生え薬を発明してノーベル賞に輝いた科学者はいない。
 欧米ではミノキシジルをベースにした毛生え薬が高い効果をあげて、日本でも大正製薬からリアップという商品名で売り出されたけど、その薬を使って黒々とした、ぶっとい毛が生えてきたとは聞いていなし、せいぜいウブ毛を少し太くしたくらいの毛である。それでも毛生え薬としては画期的なのである。リアップ以外にも数多くの毛生え薬があるが、せいぜいウブ毛どまりである。実際はウブ毛すら生えないことの方が多い。
 あとで紹介するが2005年12月、日本でも飲む毛生え薬「プロペシア」が発売され、医療機関を介して使用できるようになったが、これとて効くのは3割程度といわれている。しかも、勃起不全という副作用が懸念される。頭の毛は生えてもあっちが役立たずになってしまったのでは元も子もない。彼女にもてるつもりが、肝心なところで嫌われてしまう‥。


 ハゲてたって立派な人格者や好青年は多いのに、なぜか大和撫日子はハゲがお嫌いのようだ。
 日本人は平気で人の劣等感を笑いの対象にして楽しむ人種で、チビ、デブ、ハゲ、ブスは気の毒極まりない。最近ではデカ顔も笑いの対象になった。なにしろこれらは健常人の一つの特徴なのだから、つまり個性である。尊敬できる個性ではないにしろ、これほどまでに笑われたら、ご当人は辛い。心理的なダメージは大きい。
 これがあきらかな身体障害者を揶揄したりしたら、世間の顰蹙(ひんしゅく)をかう。
 当然、身障者を侮蔑、差別するような表現は使用が制限されている。ところが、チビ、デブ、ブス、ハゲは自由に使える。使用禁止の差別用語ではないけど、実際はけっこう差別用語なのだ。
 もっとも一般的な話の中で使う分には問題ないが、特定の個人を指して、チビ、デブ、ハゲ、ブスなどいったら侮辱罪や名誉毀損に問われることもある。面と向かって「ハゲ部長」とかいったら訴えられるかもしれない、ご注意を。
 以前、公害の一つに工場などからの出る廃液の「垂れ流し」という表現が、障害者を傷つける言葉として問題になって、マスコミなどでは「出っぱなし」などと言い換えていたし、「めくら判」などの表現も避けてている。それくらい障害者には気を使うのだが、健常者をハゲ、ブスとおもしろおかしく形容する分にはお咎めはない。
 うすらばか、とか、ノータリンなどといったら問題があるが、ドジとか間抜けはどうなのだろうか?
 使っていい言葉、使ってはいけない言葉と区別することが、そもそも差別の元凶かもしれない。
 だから人々は必死になってダイエットに励み、かかとに仕掛けのある靴を履き、毛生え薬をつける。本当に日本は平和な国でよかった。


 女性用のファッションカツラは別である。男性カツラは、一度つけたら最後、以後人前に出るときは、必ずつけるのが社会の掟だ。
 ハゲの元上司が、ある日突然髪の毛フサフサの黒々になって私の目の前に現れたことがあった。その時は、目が点になってしまって、じっと頭を見つめてしまったが、これが逆の場合は恐らくショック死してしまうか、お腹を抱えて笑いだすのをこらえて、腸捻転になってしまうかのどちらかである。
 男子たるもの、そうたやすくハゲたり、クログロ・フサフサに変身してもらっては、周囲の対応が混乱する。ましてや自分より偉い人だとどう対応していいのかわからず、頭の中がパニクってしまう。精神修行の足りない若輩者にとっては精神衛生上、よろしくない。
 突如として、カツラをつけて、人前に登場した元上司の勇気にはあきれるほど感心したが、カツラ屋は回りの人間がショックで痙攣を起こさないように、ハゲの部分をじょじょに小さくしていくカツラのメニューを用意している。ステップ○○法とかと呼ばれているメニューで、大抵のハゲラーは人に知られずに徐々に髪の毛を増やしていく方法を選ぶ。それが社会に対する礼儀であり、カツラーになろうと思ったら、そのくらい回りに気を使ってほしい。一気にクログロ・フサフサでは、カツラーの資格なし、カツラーの資格剥奪ものである。
 もっとも、そのくらいおおらかなことを平気でできるなら、なにもカツラをつけることはないのではないかと思う。
 一度カツラをつけると、今度はむやみやたらと外せない。それがカツラーの守るルールだ。
 親しくなったカツラーの同僚とビジネスホテルに宿泊した際、親近感を込めてだと思うが、風呂上がりにカツラを外して現れたりするが、ちょっと迷惑である。同じ人物であるのはわかっているがイメージがまったく違うので違和感がある。気の弱い私など目のやり場に困って、視線が宙をさまよってしまう。
 カツラーたる者、一度カツラーになったら、やすやすとハゲをみせることなかれ。 
 では、いつまでカツラーを通さねばならないか。
 答えは、人生の節目までである。
 カツラーになったあなたが、会社に通うサラリーマンなら、定年退職するまでである。もしくは、転職するまでは、つけ続けないといけない。
 大きな会社で転勤が頻繁にある会社では、転勤時でも許されるかもしれない。しかし、A支店ではクログロ・フサフサだったのがB営業所にいったらハゲでは、いずれ話題にはなることは間違いないが、回りに与えるインパクトは強くないので、まあ許されるかな。
 しかし転勤のあるカツラーはつらい。なぜなら、転勤のたびに自分の頭を面倒みてもらう床屋さんを探さなくてはいけないからだ。一般の床屋さんでカツラの知識のある床屋さんを探すのは大変だろうから、転勤の多い人はやはり全国どこにでもある大手のカツラ屋にお世話になった方が無難だ。とはいっても、同じ看板のカツラ屋でも、やはり人間対人間、客と技術者といっても相性があるから、気苦労はついて回る。
 会社に勤めているときはカツラーだった人が、定年後にハゲラーにもどることは多い、というかほとんどが戻る。対外的にカツラーでいる必要がなくなったのと、退職後カツラの費用を捻出するのが難しいという経済的な問題もあるが、なにより、60歳にもなればハゲていてもまったくおかしくないし、若いころ抱いた劣等感も消滅してくる。
 だから定年後はカツラーから年相応のハゲラーに戻ることになる。
 60歳を越えてもカツラをつけ続ける人がいたら、よっぽどおしゃれな人か、ハゲに対する劣等感を強烈に植え付けられた人に違いない。

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