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ハゲにまつわる、おかしくも、まじめなお話。カテゴリー、1)~6)の順にお読みください。
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 カツラは、何年ぐらいもつか、というと3~5年ぐらいらしい。
 カツラそのものの耐久年数は5年程度はある。大事に使えば半永久的にもつと説明しているカツラ屋の技術者がいるが、それは嘘だ。毎日太陽の紫外線に当たり、専用のシャンプー剤を使うとはいえ、頻繁に洗っていれば傷む。使用頻度や使用方法にもよるが、耐久年数は5年程度というのは妥当だろう。
 カツラの耐久年数は5年あっても、カツラーにはもっと深刻な問題があって、カツラの寿命は短くなるのが普通だ。
 カツラを装着すると、ハゲの進行は思った以上に早くなってしまう。最近はネット状のカツラも普及していて、通気性などは格段に向上したが、カツラを止めるストッパーなどを装着する関係で、周辺の毛には悪い影響を及ぼす。やはりカツラは頭皮や髪にはよくない。
 カツラの耐久年数がくるまえに、ハゲの拡大が進行して、サイズが合わなくなってしまう。カツラーは、大きいサイズのカツラを新たに制作しなければならなくなる。ハゲの進行に勢いのある人は、1,2年でカツラを新旧交代させなければならない。カツラ屋にとっては表彰状ものの得意客である。
 たとえばの話、30才でカツラのお世話になったとすると、60才までに最低でも7回作り換えることになる。一つ50万円のカツラを二個作って100万円、それが7回だからしめて700万円。
 たいていのカツラーは、定年など人生の節目までカツラーでいる。その間にカツラ屋に払うカツラ代は700万円になる。カツラ制作の費用以外にも月に一回は調髪代がかるし、カツラ用の専用シャンプー代などもかかる。カツラ屋は、一人のカツラーをゲットすると生涯で、ざっと1千万円の売り上げが期待できる、おいしい商売なのだ。
 単純に考えると、カツラーじゃない人は、定年までにカツラーよりは700万円程度のお金を残す計算だが、そんなことはない。どこかで無駄使いしてしまっているのだろう。
 カツラーは高い金を払ってもカツラに価値を認めている。実際カツラをつけることで人生がバラ色に変わる人は少なくない。
 それにしてもカツラは高い。

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 女性だってハゲる。年をとれば頭は薄くなるし、最近では年はとっていないのに、スカスカに薄くなる女性もいる。(「毛髪生理の講座」を参照してください)
 女性ハゲが増えるのにともなって女性用のカツラ売上げは急増している。大手カツラ屋では男性カツラの売上げが低調なのに比べ、女性カツラの売上げは高い水準を保っている。テレビコマーシャルも女性がみる昼間の時間帯に集中的に流して、さらにの売上げアップを図っている。
 女性用カツラは、カツラショップで売られている、既製品の安価なものから、大手カツラ屋で扱う超高価なものまでいろいろある。
 女性はもともとオシャレ用にカツラを着用する習慣があるので、男性ほどカツラに対する抵抗感はない。男性がカツラをつけるときのような繊細な神経は使わない。
 男性カツラーの場合では考えられないが、女性はオープンな美容サロンのスペースでも平気でカツラを装着し、時には隣の客にその似合い具合を平然と聞いたりする。男性のように隠す存在ではなく、オシャレ道具の一つとしてカツラをつける。男性カツラーが非常に神経質でクローズなのに対し女性カツラーはオープンだ。
 テレビで大々的に宣伝をしている大手カツラ屋にいくとかなり高価なカツラ代になってしまうが、カツラショップや美容サロンなら半額以下で済む。男性のように短い髪でストレートな髪ではないので、カツラ専門店のテクニックがなくても、装着は問題ない。いきつけの美容室で購入して着けるのが理想だが、カツラを扱っている美容サロンはそう多くはない。



 日本のカツラの値段は高い。欧米の二倍から三倍はする。カツラの値段が高いのは、日本特有のものである。日本でのカツラ市場が欧米などの先進国とは違った形成をされてきたからである。日本のカツラ市場は、独特なのである。
 それは日本人の気質も大きく影響している。
 日本では、大手のカツラ屋2社が寡占的にカツラ市場をリードし、カツラのマーケットを形成してきた。カツラ業界では、AD、ANと頭文字をとって呼んでいる。この2社で男性カツラ市場の約9割を占有している。この2社以外にもS社、戦前からあって日本のカツラ屋の老舗的存在であるT社などがあるが、大手2社によって市場は形成されているといっていい。
 この2社だけで400店を超えるカツラサロンが全国にある。カツラーのほとんどは、この400店のどこかでお世話になっている。
 カツラ専門サロンは、人口30万人都市なら経営できるというのがカツラのマーケットで、大きな都市には必ず存在する。
 カツラの値段が高いのには、多分に広告経費がかさむことが上げられる。某大手カツラ屋の売り上げは600億円前後あるが、そのうちの約2割は広告宣伝費である。毎年100億円を超える金額がテレビコマーシャルや男性雑誌の広告に使われる。カツラーの支払う金額の2割は広告代に消える計算になる。
 で、肝心のカツラそのものの原価はいくらぐらいかというと、これが驚くほど安い。大手の2社では多少違うが、採寸などのオーダー(フィッターという専用の器具を使っています)や検品は国内で行うが、実際のカツラ製造は安い人件費の海外の工場で行うため、製品のそのものの価格はカツラーが支払うカツラ代金の1%にも満たない。これって「!」ものだ、と思いません?
 それほど安い原価なのである。こんなに安い原価なら販売価格を下げてほしいものだが、日本のカツラマーケットは大手2社に牛耳られているので、独占的な価格設定がまかり通っている。安い価格でのカツラの提供を試みる会社があっても、すでに形成されたマーケットを覆すのは難しく、成功しない。
 カツラを安く作り高く売るノウハウは、大手カツラ屋の企業努力の賜物である。カツラーにとってはあまりありがたくない企業努力ではあるが‥。
 ちなみに某大手カツラ屋ではタイを主力の拠点として生産している。



 これだけ高いカツラを売っている大手カツラ屋に対抗して、安い値段で販売する理容店が現れてもおかしくないのだが、現実は難しい。
 最大の理由は日本人特有の気質による。
 一般の理容店でもカツラを勉強している技術者はいる。彼らの技術レベルは大手カツラ屋の技術者にひけをとらない。というより、カツラの技術そのものがそれほど難しい技術ではない。私(理容師免許を持っている)でも一週間も練習すれば、一人前のカツラ技術者になれる自信はある。
 一般の理容店でカツラ技術をメニューに採用した場合、一~三万円のカツラを仕入れて、欧米のカツラ相場である十数万円で売っても十分な利益が出る。
 理容店の業界団体である全国理容生活衛生同業組合連合会では、過去に何度かカツラに取り組んできたが、成功しない。カツラの技術はもちろん、カツラ技術用に個室を作るアドバイスをしたり、カツラの頒布を手助けしたり、カツラ技術のコンテストを主催したりして、普及を目指したがうまくいかなかった。
 失敗した理由は、カツラーの心理を知らなかったからである。
 カツラーは、自分がカツラーなのを知られたくない。これが最大にして、絶対条件なのだ。回りの人に知られないために最大限に神経を使う。
 街の理容店がカツラー用の個室を作って、周囲と完全に隔離しても、カツラーはその理容店でカツラを作ることはない。なぜなら個室に入っただけで回りの客から怪しまれてしまう。一般の理容店は、立地にもよるが地域と密着していて、客同士も顔なじみが多い。そんな理容店では、個室に入っただけで怪しまれてしまう。
 実際には、大半の客は他の客が個室で何をしようが興味ないかもしれないが、カツラーは神経質なのである。カツラーであることがばれてしまうかもしれないと危惧する。
 休日を利用して、特別にカツラ客に技術する理容店や、営業時間が終了したあと、自宅の玄関からこっそりと入れて技術する理容店もあったが、それとて同じこと。カツラーは世間の目を異常に気にしている。
 ましてやパネル式の簡便な仕切り程度では、カツラーは寄り付きもしない。
 大手カツラ屋のサロンは、たいてい駅前や繁華街の雑居ビルにある。カツラーがカツラサロンを利用するときは、サロンのある階を避けて、別の階でエレベータを降りて、階段を使ってサロンまで行く。帰りも同様に別の階からエレベータに乗るのである。カツラーは、カツラサロンのある階から乗り込んだら、疑われると信じて疑わない。それくらいナーバスなのである。
 理容店は地域の客が多い。とても近くの理容店など行かれないし、わざわざ遠方に出向いたとしても、普通の理容店には入る気はしないだろう。
 だいいち常連客のうち頭の薄い人にカツラを薦めるという発想そのものが間違っているのである。顔見知りの理容店でカツラをつける勇気あるカツラーはまずいない。
 というわけで、カツラーは大きな都市の雑居ビルの中にある大手カツラ店を利用することになる。それがカツラのマーケットなのである。
 大手カツラ屋としては、巨額の宣伝費を投じて、ハゲラーを掘り起こし、相談のあったカツラー候補者を近くの専用サロンに案内する。(大手カツラ屋では、問合せや相談を受けるのは専門のポジション、コールセンターとかお客様相談センターがあって、いったんそこでハゲラーの話を聞いたあと、最寄のサロンに案内している)。
 最近ではインターネット上でカツラー候補者が、人に相談することなくチェック項目に回答して、自ら診断できるシステムもある。人に知られたくないハゲラーにとっては最適なツールがインターネットである。ネット上でチェックした結果、ほぼ全員が近くのサロンに行くようにコンピュータから指導される仕組みになっている。
 カツラを営業種目に取り入れようとした、理容店の全国組織の指導者の間違いは、ハゲラーの心理を知らなかったこと、つまりカツラのマーケットを知らずに取り組んだことにある。


 欧米のカツラ事情、カツラのマーケットは日本のそれとは違う。カツラの値段は、日本の大手カツラ屋が設定している金額の半分から三分の一程度。日本円にして十数万円が相場で、そのくらいが男性用オーダーカツラ相場かな、と思う。
 欧米のカツラーは日本人のそれと違っておおらか、というか自分がカツラをつけていることに日本人ほどこだわりをもたないようだ。町のカツラショップで手軽に装着したり、簡単な調髪を済ませてしまうらしい。
 日本のカツラショップでは、女性用のカツラを置いてあるが、あんな雰囲気の中で男性カツラ客も施術してしまうだろうか?
 欧米には、ハゲをあまり気にしない人が多い反面、カツラを着けるとなったら、頭蓋骨にフックを取り付けて、カツラを固定する、そんな外科手術までしてカツラを着ける御仁もいるとか。国民性もあるけど、やはり人それぞれ、ですね。
 企業的には日本のカツラ屋は、圧倒的に規模が大きい。欧米のカツラ屋は個人経営に毛が生えたくらいの規模の法人が多い。
 むかし、日本のやり方でアメリカに進出を試みた大手カツラ屋があったが、すでにアメリカなりのカツラ市場ができあがっていたため、ものの見事に失敗した。カツラ市場をゼロから構築するときは日本流のやり方でも可能性があるが、すでにできあがっているカツラ市場では日本の高価格・宣伝重視のやり方は通用しなかった。
 そのカツラ屋は、その後直接的な進出は諦めて現地の企業を買収する方針で進出していて、アメリカ、ヨーロッパではそこそこの成果は上げているらしい。
 欧米への直接進出に失敗した日本のカツラ屋は、アジアの諸国への進出を図っている。これらの国では、カツラの市場が形成されていなかったのが幸いして、日本式のマーケット、つまり大々的な宣伝と高価な価格設定が通用、定着する可能性はある。韓国や台湾、シンガポール、中国などの諸国に受け入れられるかはこれからだが、日本と同じようにハゲに対する一種の差別意識があるのなら、日本式カツラマーケットを導入しても成功するだろう。そういった差別的な文化がないならば成功する可能性は低い。
 株主を最大限に大切にする、カツラ屋の経営者だったら、ハゲをお笑いの対象にするコマーシャルをどんどん流して、ハゲラーをカツラーにさせる。世間の顰蹙(ひんしゅく)はかうかもしれないが、ビジネスは成功するだろう。カツラ屋など所詮、社会からは「人の弱み付け込み産業」としか認識されていないのだから、きれいごとをいっても疑われるだけ。派手に悪役に徹した方がいい。ハゲだけでなく、ブス、デブなどを扱うエステティックや美容整形も同様だ。
 自由経済は、ある意味法律に触れない範囲で何でもありの社会なのだから、ハゲ、ブス、デブは大いに(こっそり)笑いの対象にしてビジネスを展開すべきだ。その一方で幼い子供には無料でカツラを提供したり、医療用カツラのボランティアを続けて社会への貢献を大々的にアピールする。そんな二面性をもった経営戦略がいい。がっぽりもうけて、表面は社会貢献企業としての顔を持っている。
 こんな企業は、他の産業界、日本に限らず世界にはたくさんある。
 とはいっても、2006年に摘発された、ライブドアのホリエモンの例もあるし、世の中そんなに甘くはない。


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