ハゲにまつわる、おかしくも、まじめなお話。カテゴリー、1)~6)の順にお読みください。
日本のカツラの値段は高い。欧米の二倍から三倍はする。カツラの値段が高いのは、日本特有のものである。日本でのカツラ市場が欧米などの先進国とは違った形成をされてきたからである。日本のカツラ市場は、独特なのである。
それは日本人の気質も大きく影響している。
日本では、大手のカツラ屋2社が寡占的にカツラ市場をリードし、カツラのマーケットを形成してきた。カツラ業界では、AD、ANと頭文字をとって呼んでいる。この2社で男性カツラ市場の約9割を占有している。この2社以外にもS社、戦前からあって日本のカツラ屋の老舗的存在であるT社などがあるが、大手2社によって市場は形成されているといっていい。
この2社だけで400店を超えるカツラサロンが全国にある。カツラーのほとんどは、この400店のどこかでお世話になっている。
カツラ専門サロンは、人口30万人都市なら経営できるというのがカツラのマーケットで、大きな都市には必ず存在する。
カツラの値段が高いのには、多分に広告経費がかさむことが上げられる。某大手カツラ屋の売り上げは600億円前後あるが、そのうちの約2割は広告宣伝費である。毎年100億円を超える金額がテレビコマーシャルや男性雑誌の広告に使われる。カツラーの支払う金額の2割は広告代に消える計算になる。
で、肝心のカツラそのものの原価はいくらぐらいかというと、これが驚くほど安い。大手の2社では多少違うが、採寸などのオーダー(フィッターという専用の器具を使っています)や検品は国内で行うが、実際のカツラ製造は安い人件費の海外の工場で行うため、製品のそのものの価格はカツラーが支払うカツラ代金の1%にも満たない。これって「!」ものだ、と思いません?
それほど安い原価なのである。こんなに安い原価なら販売価格を下げてほしいものだが、日本のカツラマーケットは大手2社に牛耳られているので、独占的な価格設定がまかり通っている。安い価格でのカツラの提供を試みる会社があっても、すでに形成されたマーケットを覆すのは難しく、成功しない。
カツラを安く作り高く売るノウハウは、大手カツラ屋の企業努力の賜物である。カツラーにとってはあまりありがたくない企業努力ではあるが‥。
ちなみに某大手カツラ屋ではタイを主力の拠点として生産している。
PR
この記事にコメントする